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横綱 日馬富士の暴行事件…逮捕される可能性は!?


平成29年11月14日、大相撲の横綱日馬富士が平幕の貴ノ岩に暴行を加えたと報道されました。
報道によると、日馬富士は、10月下旬、巡業先の鳥取市内において、酒が入った飲食の席で貴ノ岩に先輩力士に対する日頃の言動について注意していたところ、その間も貴ノ岩がスマートフォンの操作をし続けたことに激高して、ビール瓶などで殴ったということです。
その後、貴ノ岩は「脳振とう、左前頭部裂傷、右外耳道炎、右中頭蓋底骨折、髄液漏の疑いで全治2週間」という診断書を日本相撲協会に提出しており、また、貴ノ岩の師匠に当たる貴乃花親方が、10月下旬、鳥取県警に被害届を提出し、鳥取県警が捜査を進めているとも報じられています。
日馬富士に今後どのような処分が考えられるかについて、弊社インハウスローヤーに話を聞きました。

逮捕される可能性は低い!?


‐ 日馬富士は今後逮捕されるのでしょうか。

結論から申し上げると、現時点で日馬富士が逮捕される可能性は低いと思われます。
まず、逮捕には(1)通常逮捕 (2)緊急逮捕 (3)現行犯逮捕 の3種類がありますが、(2)は裁判官の逮捕状を求めることができないような緊急の場合に限られていること、
(3)は犯行現場における逮捕であることから、今回考えられるものとしては(1)の通常逮捕かと思われます。通常逮捕の要件は、
(ア)「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」があること(刑事訴訟法199条1項)
(イ)逮捕の必要性があること(被疑者に逃亡するおそれがあり、かつ、罪証を隠滅するおそれがある等)(同法199条2項但書、刑事訴訟規則143条の3)
です。
本件の場合、報道によれば日馬富士自身が暴行を認めているということですので(ア)の要件は問題にならず、問題は(イ)の要件になると思われます。
この点、報道によれば日馬富士自身も謝罪をしているということや、横綱という立場を捨てて逃亡するという可能性は極めて低いと考えられることからすれば、日馬富士が、逃亡したり、罪証を隠滅するということは考えにくく、逮捕される可能性は低いのではないかと思われます。

示談成立がポイント!


‐ 逮捕されないとして、刑事処分はされないのでしょうか?

逮捕がされないとしても、刑事処分がされないということではありません。
警察は被害届を受領し、捜査を開始した場合、逮捕をするかどうかという判断のほかに、検察庁に事件として送致するかどうか(一般的には「書類送検」と言われています。)の判断をします。そして、書類送検後、検察官が起訴するかどうかの判断をします。

本件の場合、暴行の行為態様や被害の程度からすれば、十分、書類送検及び起訴される可能性はあります。
ただし、書類送検や起訴がなされるかの判断にあたっては、本件のように個人の身体という法益を侵害した事案の場合、被害者との間で示談が成立しているかどうかも大きな判断材料となります。
これまで報道されている情報からすると、被害届の取下げはなされておらず、いまだ示談は成立していないようですので、今後、被害者との示談がなされるかどうかも注目される点です。

示談交渉は弁護士に依頼して行うこともできますが、力士のような立場の場合、親方などの関係者が間に入って話し合いがなされるのではないかと思われます。
ただし、親方などであっても法律に精通しているわけではないため、日馬富士及びその関係者としては、現時点で弁護士に交渉を依頼するということも検討してよいかと思います。


‐ 起訴されるとした場合、その罪名や処罰はどうなるのでしょうか。

今回の報道のように、仮に日馬富士がビール瓶などで殴り、診断書に記載されているようなケガを貴ノ岩に負わせたということであれば、傷害罪(刑法204条)として起訴される可能性が高いでしょう。
なお、ビール瓶で殴ったという行為態様だけから見ると、殺人未遂罪(刑法199条、203条)に当たる可能性もゼロではありませんが、もともと貴ノ岩の言動を注意する意図であったとすることからすると、日馬富士に殺意があったということはできず、殺人未遂罪で起訴されることはないと思われます。

そして、傷害罪として起訴された場合は、傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金ですが、日馬富士には前科・前歴はないと思われることや、現時点では謝罪をしていると報道されていること、今後、日本相撲協会により何らかの処分がなされるとすれば、それにより社会的制裁を受けることが考えられることなどからすると、仮に、被害者との間で示談が成立しなかったとしても、懲役刑としても例えば1~2年に、執行猶予、例えば3~5年が付く可能性が高いと思われます。


‐ これまでは刑事処分としての話でしたが、大相撲の力士、横綱としてはどのような処分が考えられるでしょうか。

日本相撲協会が行う懲戒処分としては、除名、解雇、番付降下、出場停止などがあります。
過去に力士が暴行、傷害などの事件を起こし処分を受けたものとしては、2015年に傷害容疑で逮捕・起訴されたことで解雇となった熊ヶ谷、2007年に稽古部屋の力士が暴行死したことで解雇となった時津風、2006年にカメラマンに暴行したことで3日間出場停止処分を受けた露鵬などの例があります。
これらと比較すると、傷害によって起訴されるような場合には解雇処分も考えられるかと思われます。
また、仮に起訴されなかったとしても、暴行をしたのが事実であれば、少なくとも出場停止等の処分はなされるのではないかと思われます。

(文責: 弁護士トーク株式会社 インハウスロイヤー 八木優大弁護士)


<弁護士トーク編集部>
現役横綱である日馬富士の暴行事件に驚かれた方も多いと思います。被害届を受理した鳥取県警は今後、刑事事件として捜査を進めていくとの報道もなされました。
逮捕の可能性は低いのではないかとのことでしたが、相撲界のイメージを悪くした事件だけに、相撲協会からも厳しい処分が下されるのはないでしょうか。
刑事事件の対応にはスピードが大切です。
事件の内容、立場(被害者、加害者)によって対処法は様々です。
弁護士がいれば各々の立場で適切な処置を取ることができます。
弁護士トークなら無料チャットで相談可能ですので、是非お気軽にご相談ください。

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