SNS時代の誹謗中傷

SNSが普及し、誰もが匿名で情報を容易に発信できる時代となりました。

その中で、匿名であることをいいことに他人の誹謗中傷を内容とする書込みや、他人の顔写真のアップロード等の投稿が数えきれないほど行われています。
このような投稿をした場合に、法的にはどのような問題が生じうるのでしょうか。

以下、投稿被害に遭ったときのとりうる手段について述べたうえで、
•集合写真をSNSにアップロードすることについて
•インターネット上のフリー素材を使用することについて
2点の法的問題を述べたいと思います。


◆投稿被害に遭ったときにとりうる手段


投稿被害に遭ったときにとりうる手段は、
(1)当該投稿の削除を請求すること
(2)当該投稿の投稿者を特定して、損害賠償請求をすること
この2つがあります。

まず、(2)投稿者の特定 については、これまでは投稿者のプロフィールや、投稿内容・投稿画像などを組み合わせて特定を試みるしかなく、多くの場合は、投稿者の特定をすることが非常に困難でした。

しかし、平成13年に、「プロバイダ責任制限法」という法律が施行され、同法4条に定められた、発信者情報開示請求という手続きにより、投稿者を法的に特定することができるようになりました。
同請求が認められた場合には、投稿者の氏名や住所、メールアドレスなどが請求者に開示されるため、現在は「SNS上の、匿名投稿だから泣き寝入り」という時代ではなくなりました。
次に、(1)(2)のどちらも、「投稿により自身の権利が侵害された」ということが請求の根拠となります。
もっとも、投稿者にも「表現の自由」という憲法21条で認められた権利があるため、他者の権利を侵害する全ての投稿に対して(1)や(2)を請求できるわけではありません。
たとえば、権利侵害として主張されることの多い名誉棄損(人格権侵害)の場合は「社会的評価が低下した」といえるかどうか、プライバシー権侵害の場合は投稿者の「表現の自由」が保護されることにより得られる利益より投稿により被害にあった方のプライバシーを保護する利益が優先するかどうか、がポイントとなります。

◆集合写真のアップロードに関する問題


集合写真をSNSにアップロードすることには、複数の法的問題が潜んでいます。
まず、集合写真に写っている人の「肖像権」を侵害してしまうおそれがあります。
「肖像権」とは、みだりに自己の容ぼう等を撮影され、これを公表されない権利であり、判例上認められている権利です。
また、肖像権は万人に認められる権利であり、有名人かそうでないかなどは全く関係ありません。
他人の容ぼう等を撮影した写真を公表するためには、原則として当該他人の承諾を得る必要があります。
しかし、承諾を得ずに同写真を公表することがすべて違法となるわけではなく、容ぼうが公表された者の社会的地位・公表された方法・目的や態様等の諸事情を総合考慮したうえで、公表された者が、社会生活上受忍すべき限度を超えた人格的利益の侵害を被ったといえる場合に限り、違法とされます。

次に、集合写真を撮影した人の「著作権」を侵害してしまうおそれがあります。
「著作権」とは、著作物を作成した人に認められる権利の総称であり、撮影者がプロか素人かは関係なく、撮影行為に工夫がなされていれば、撮影した写真に著作権が発生する可能性があります。
そして、集合写真を公表することで、著作権の一つである、「公衆送信権」(公衆に著作物を送信する権利(著作権法23条1項))を侵害するおそれがあり、公表するには、著作者(一般的には、撮影した人)の承諾が必要となります。


◆フリー素材のアップロードに関する問題


「フリー素材」の「フリー」について、一般的には、著作権がフリーとなっている場合が多いとは思われますが、フリー素材を配布しているサイトの利用規約などを見ると、「著作権は放棄していない」という記載があることもあり、限定的な範囲での使用を認めているに過ぎない場合があります。
また、仮に著作権がフリーとなっている場合でも、「著作者人格権」がフリーでない場合もあります。
「著作者人格権」とは、当該著作物を制作した著作者に認められる、譲渡ができない権利です。たとえばフリー素材を加工すると、著作者人格権の一つである、同一性保持権(著作物の改変に反対できる権利(著作権法20条))を侵害してしまうおそれがあります。

◆まとめ


「SNSに投稿する」という行為には様々な法的問題が潜んでおり、知らぬ間に誰かの権利を侵害しているかもしれません。
投稿した後に、投稿者自身がその投稿を消そうと思っても、編集機能があれば別ですが、投稿者本人の削除請求は極めて困難です。
また、書かれた人から、発信者情報開示請求の手続をとられた上、損害賠償請求をされるおそれもあり、損害額は、弁護士費用も含め100万円単位と高額になることもあります。
投稿する前に、「投稿内容は大丈夫か」「投稿する高度の必要性はあるか」と落ち着いて考えましょう。

--執筆協力--
大本 康志 弁護士
大本総合法律事務所 代表弁護士

所在地:
東京都千代田区丸の内1-9-2
グラントウキョウサウスタワー 17F
http://www.ohmoto.biz/

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