誰にでも起こり得る遺産相続と遺言について

誰にでも起こり得るトラブルの1つに「相続トラブル」があります。
裁判所の統計によると、平成14年と平成24年の相続関係の裁判所への相談件数は、10年間の間に約2倍に増えているというデータがあります。
さらに、2015年の司法統計によると、裁判所への相談件数の8割弱が、相続額が5000万未満の家庭が占めている、というデータが出ています。

そこで今回は、大本総合法律事務所 小野弁護士に、誰にでも起こり得る遺産相続と遺言について、詳しく解説していただきました。

◆相続争いが起きる背景


あんなに仲の良い兄弟だったのに…。
両親が亡くなった瞬間壮絶な相続争いが始まる、というのは信じがたい光景ですが、よく目にする光景です。
親が生きているうちから、「自分のところで面倒を見る」と突然言い出し、家屋から土地から全て自分の名義に換えてしまう、なんていう方もいらっしゃいます。

私の経験からすると、遺産が億単位である家庭は、それほど壮絶な争いには発展しません。おそらくリアルな金銭感覚ではないからだろう、と思います。
数千万円単位で残ると、とてもリアルなので、1銭たりとも譲らない、という状況が発生します。

◆相続争いの原因


相続争いの原因は、だいたい長男であることが多いです。長男の嫁が長男を統制することで発端になることが殆どです。長男の「嫁」という他人が入ってくるからこそ、余計に紛争が勃発するのかも知れません。
そのうち、昔は優しかったお兄ちゃん(長男)が、嫁に洗脳されて、別人に変わります。もう、何を話しても平行線。暴力沙汰に発展することも時々あります。
 嫁が絡んでいなくても、長男の何らかのジェラシーによって、紛争が勃発します。遺産である不動産(実家)の乗っ取り、それに対する明渡断行の仮処分などの法廷闘争に発展することもあります。

こういう紛争を防ぐ唯一の手段は、「遺言」を作っておくことです。


◆遺言の種類


遺言は大きく分けると、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。公証役場へ行く時間のない人は、自筆でも構わないので、遺言を作りましょう。
遺産をどう分割するかという内容を書き、日付、氏名を自署し、印鑑を押します。
これで立派な遺言です。できれば、封筒に入れてのり付けをし、×印でも付けておくと良いでしょう。

理想は、公正証書遺言を作ることです。
なぜかというと、自筆証書遺言だと、内容に納得のいかない相続人が、「その遺言は偽造だから無効だ!」と主張し、遺言無効確認の訴訟を起こしてくることがありますので、これを防ぐためです。
公正証書ですと、公証人が立会人のもとに作りますので、さすがにこのような裁判は起こしにくく、この点で紛争が発生しにくくなります。

◆自筆証書遺言についての改正点について


相続法(民法)の改正のうち、本年(2020年)1月13日から施行されました自筆証書遺言の方式について説明します。

(1)これまで自筆証書遺言というのは、あまり使われてきませんでした。何故かというと、「全文、日付、氏名」を自書することが義務づけられていたからです。財産が沢山あったような場合には、不動産から、預金から、株から、全ての財産目録を自書しなければならないことになっていて、高齢者にはかなりの負担を伴うものだったからです。

しかしながら、財産目録については、自書の必要性が乏しい、つまり、形式的な事柄であって遺言者の意思が入らない事項ですので、これについては自書を求めないことになりました(新法968条2項)。ただし、自書ではない部分については、全ての頁に署名し、押印をしなくてはなりません。

なお、財産目録という特定の方式は要求されていませんので、預金通帳の写しや登記事項証明書等に署名押印して、遺言に付けることも可能です。

(2)上記について「一部の頁のみ署名及び押印をし忘れたら、遺言書全文が無効になるのか?」といった疑問が出てきますが、そうではありません。当該頁のみが無効となります。
ただ、その頁が与える遺言書全体に与える影響を考え、基本的には遺言者の記載の趣旨を踏まえて個別に判断することとなります。

(3)財産目録を一度作った後に、一部を差し替えたり、追加したりする必要が生じることがあります。
この場合、「最初に押印したものと同じ印鑑を使わないと無効になるのか?」と疑問が出てきます。これについては、同一の押印を要求されていません。
財産目録を作成した後にその印鑑を紛失したような場合に、同じ印鑑を要求すると、差し替えたり追加したりした頁が無効になってしまい、要求として厳しすぎるからです。

(4)遺言書と財産目録の全てについて、一体性を確保するため、或いは偽造などを防止する観点から、契印をする必要があるか?についても問題となりましたが、不要ということになっています。

【遺言書記載例】
URL: http://www.moj.go.jp/content/001244449.pdf

(5)遺言書の内容についての加除訂正の方式については、特に緩和されていません。
これまで通り、変更場所を示し、変更した旨を付記して特にこれに署名しかつ、変更の場所に印を押す必要があります。

なお、財産目録に関する部分の加除訂正については、自書による必要はありませんが、財産目録を差し替えたのみで、加除訂正の方式を満たしていない場合は、当該遺言については無効になると考えられていますので、注意が必要です。

(6)自筆証書遺言については、保管制度が創設(法務局における遺言書の保管等に関する法律)されましたが、施行されるのは今年(2020年)7月1日からとなっています。


◆最後に


相続争いを防ぐためには、やはり遺言を残すしかありません。

「うちはあまり財産がないから、遺言なんて必要ないな!」と思われている家庭ほど、相続争いが激しくなります。
遺産の額が小さいほど、相続人にとっては、「住宅ローンに充てよう。子供の教育費に充てよう。車のローンに充てよう。借金返済に充てよう。」と見込みが立ちやすいので、他の相続人との間で「一銭でも負けてやるものか!!」と躍起になります。
従って、どんな方でも、遺言を残すのは相続人に対しての義務だと思っていただいた方がよいかと思います。

遺言は難しいものではありませんし、一度書いても何度でも書き直せます。皆さんもお気軽に遺言を書いてみませんか?
あるいは、親御さんに「僕たちは遺産を巡って喧嘩したくないから、遺言書いといてよ!」と頼んでみたら如何でしょうか?

法律上、法定相続分が決まっていますが、なかなかその通りで納得がいかないものです。「お兄ちゃんばかり大学に行って」「私は親の面倒を見たのよ」など、特別受益や寄与分を巡って鮮烈な戦いが始まります。

中には「被相続人の妻は後妻で、単なる財産目当てにすぎず、財産形成に全く寄与していないどころか、食いつぶしているにもかかわらず、遺産を半分持って行くってどういうことよ!」なんて話も多く聞かれます。
いずれにしろ、遺言を残しておけばすべて解決できます。
お気軽に弁護士にご相談ください。


--執筆協力--


大本総合法律事務所 特別顧問
小野 智彦 弁護士
所在地:
東京都千代田区丸の内1-9-2
グラントウキョウサウスタワー 17F
TEL:03-5224-4555 Fax: 03-5224-4556
大本総合法律事務所ホームページ
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