フリーランスこそ、自分から契約書を作ろうと言い出す必要がある4つの理由

昨今、「働き方改革」の推進が叫ばれています。
フリーランスの方はもちろん、サラリーマンの方でも働き方が変わる中で重要なのが「契約書」の存在です。
普段はあまり意識をしないかと思いますが、本日は契約書の重要さについて、法律事務所アルシエン所属の河野弁護士に解説していただきました。

はじめまして。弁護士の河野冬樹と申します。

「弁護士」というと裁判ばかりやっている、というイメージがあるかもしれませんが、私は、フリーランスや企業の方からのご依頼で、契約書を作ったり、チェックしてアドバイスをしたりといった仕事をよくさせていただいております。

今回は、そんな契約書に関するお話です。


契約書、というと、大げさだし、法務部のある企業ならともかく、個人だと作ってる暇もないし…ということで、口頭で済ませている方も多いのではないでしょうか。

しかし、実際には、むしろ、フリーランスの方こそ、自分から言い出して、契約書を作ってもらっておくメリットは大きいのです。

では、契約書を作るメリットとは、どのようなものがあるのでしょうか。以下で順番に解説していきます。

(1)取引相手に約束を守ってもらうため


法律上、一部の契約を除けば、契約は口頭でも成立します。しかしながら、契約書がないと、約束というのは言った言わないにどうしてもなってしまいます。

言った言わないになると、最終的には裁判になって、いろいろな証拠を出し合って、証人尋問までやって時間をかけて…といったプロセスを経ないと、約束を守ってもらうことができません。

これが時間もお金もある大企業であれば、かえって、証拠を徹底的に集めて、裁判を戦って最終的に権利を実現する、ということもできるかもしれません。

しかしながら、フリーランスの方の場合、証拠を集めるといっても、全て手元に残っているとは限らないし、なかなかそうもいかないのが現実ではないでしょうか。

ですが、契約書を作っていれば、そういった手間をかけずとも、まず、裁判になる前に、相手が、争っても仕方がないし、むしろ自分から約束を果たしたほうがよいと考えて、任意に履行してくれる可能性が高くなります。

また、仮に裁判になったとしても、契約書の記載は一般的に強い証明力を持ちますので、比較的早期に勝つことができるでしょう。

このように、まずは、契約書をあらかじめ作っておくことで、相手に約束を守らせるという効果があることが、まず挙げられます。

(2)契約書は、取引のプロットになる


読者の皆さんの中には、「裁判になんてならない」「この取引の相手は信用できる相手だから」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、だとしても、契約書を作っておくことには、隠れたメリットがあります。

例えば、小説を書くときであれば、まずプロットを書いてから実作に入るという方が多いのではないかと思います。

自分の頭の中ではストーリーや設定ができていたとしても、いったん書き出してみなければ、見落としや矛盾点、他にも必要なことが初めてわかってくるということはよくあります。

これは、取引であっても全く同じです。いや、むしろ、相手がある分だけ、書面に書き出して、互いの認識をすり合わせておくという必要性は高いでしょう。

お金を払って仕事をする、ということでは一致していても、

お金を払う時期は?
仕事としてやらないといけないのはどこからどこまで?
仕事がどっちの責任でもなく中止になってしまったらどうする?
できたものは、お互いがどこまで自由に使っていいのか?

などなど、契約書を作っていく中で、新たに、決めておくべきことが浮かび上がってきますし、お互いの認識をすり合わせていくことができます。

このように、書面を作ることそれ自体について、取引を進めるために必要な細部の認識をすり合わせていくことで、取引を円滑に進められるという効果があることも見逃せないところです。


(3)信用できない相手をスクリーニングできる


とはいえ、契約書を作ろうと言い出すと、相手が嫌な顔をするんじゃないか、とご心配される方も中にはいらっしゃるかと思います。

でも、よく考えてみてください。そういう相手だからこそ、契約書を作っておく必要があるのではないでしょうか。

もし、相手方にとって、約束を守るつもりがあるのであれば、契約書を作ることにデメリットはありません。むしろ、こちらが約束を守らないかもしれないのだから、本来ありがたいはずでしょう。

なのに、嫌な顔をして契約書を作りたがらない理由があるとしたら、いざというとき、書面がないのをいいことに、約束を反故にできるようにしておきたい、と思っている可能性が非常に高いです。

そうだとすれば、むしろ、そういうことを考えている相手だからこそ、契約書を作成しておかないと、約束を反故にされてしまうリスクが高くなってしまいます。

だとすれば、むしろ、約束を書面にしようといって嫌な顔をする相手こそ、取引をするのであればしっかりと書面を作っておかなければ危険だし、それでもなお書面の作成に応じようとしない相手というのは、むしろ、取引をしないほうがいい可能性すらあります。

(4)かえって信用が得られる


ところで、上記の逆に、相手方が、もともと約束を守るつもりがあって、契約書を作ったほうがいいと考えていた場合はどうでしょうか。

相手にしてみれば、自分も契約書を作りたいと思っていたのですから、提案が来て、むしろありがたいでしょう。嫌な顔などするはずもありません。

むしろ、相手の立場からすれば、自分から言い出して書面を作るのではなく、向こうから書面を作りましょう、と言ってきたなら、どのように思うでしょうか。

上記で書いたようなことの裏返しのようなことを、あちらも考えていたらどうでしょう。

相手にしてみれば、こちらが、自分から契約書を作ろうと言い出したということは、こちらとしては、契約書を作っても困らない、つまり、ちゃんと約束を守るつもりがあるということを意味します。
だとすれば、相手にとって、こちらが信用できる相手だということを意味することになるので、それ自体、信用を得ることにも結び付いてきます。
そこまで明示的に考えていなくとも、少なくとも私がいろいろな企業や個人の方からお話を伺う限りでは、現在は、取引をするにあたって契約書を作るというのは、業界ごとの違いはあれどだんだん一般的になってきていますし、むしろ、契約書をちゃんと作る=形式的なこともしっかりやっていて、仕事もちゃんとやってくれそう、といった印象を持たれて、プラスになることの方が多くなってきているように思います。

ここまで、契約書を作るメリットについて述べてきましたが、いかがでしたでしょうか。

もちろん、契約書を作るというのは、メリットばかりではありません。
手間もかかりますし、そもそも、自分も書面でちゃんと約束を交わした以上、きちんと約束を履行しなければならない責任が生じます。
また、後で何か問題があった時に契約書があると、「よく読んでいませんでした」などの言い分が認められるのはかなりハードルが高いので、かえって不利になる恐れすら存在します。

もし、契約書の内容が理解できず、不安などがありましたら、その際はぜひお近くの弁護士にご相談されることをおすすめいたします。

-執筆-


弁護士:河野 冬樹(かわの ふゆき)
〒100-0013
東京都千代田区霞が関3-6-15 霞ヶ関MHタワーズ2F
法律事務所アルシエン
TEL:03-5510-8255 Fax: 03-6674-2504
URL:https://alcien.jp
Twitter:https://twitter.com/kawano_lawyer

■弁護士トーク
あなたのトラブルをプロが解決!!弁護士を探すなら弁護士トーク
URL: https://bengoshi109.com/

河野先生へご連絡
URL:https://bengoshi109.com/categories/11/lawyers/256

弁護士カンタン検索

プロフィールや料金表からインタビュー記事、事例紹介まで。
あなたの悩みを解決できる弁護士を見つけ、メールや電話で問い合わせや面談予約ができます。

困っていること

お住いの地域

チャット法律相談の5ステップ

Step 1

アプリをインストールする

アプリをインストールします。iPhoneをお使いの方はこちらからAndroidをお使いの方はこちらからダウンロードしてください。

Step 2

会員登録をしましょう

相談を投稿するためには会員登録が必要になります。

Step 3

カルテを作成し送信する

カンタンな質問にいくつか答えるだけで「相談カルテ」が作成できます。
カルテ作成が完了したらボタン一つで弁護士に送信できます。
相談内容は、プライバシーポリシーに則って厳重に保管されています。
プライバシーの保護について詳しくはこちらをご確認ください。

Step 4

弁護士からメッセージが届く

カルテの内容を確認した弁護士からメッセージが届きます。
回答をくれた弁護士へ追加で質問をしたり、相談を継続することもできます。

Step 5

弁護士と一緒に解決を目指しましょう

法律相談を通じて実際に解決を目指すために弁護士に依頼しようと判断した場合には、担当の弁護士と依頼の流れについて確認して下さい。

弁護士トークはこういう人におすすめ

弁護士に相談したいけど、まず何をすればいいのかわからない。
いくらい掛かるのか、だいたいでいいから知りたい。
弁護士事務所が近くにないため、事務所に通うことが難しい。