大麻に関する規制や刑罰について



昨今ニュースを騒がせている話題の一つに「違法薬物」があります。

「違法薬物は悪いもの」ということはご存知だと思いますが、具体的に、何をするとどのような罪に問われるのかなど、詳しいことは知らない方が多いのではないでしょうか。

本日は、大麻に関する規制や刑罰について、
弁護士法人エースの馬場 龍行(うまば たつゆき)弁護士に解説していただきました!

こんにちは!
弁護士の馬場です。

先日、元アイドルのTさん、女優のKさんが大麻取締法違反の疑いで逮捕されニュースでも大きく報道されました。
その報道のされ方などを含めて、色々な社会問題を示唆する事件となりましたが、今回は、大麻(マフリファナ)の「所持」・「使用」・「栽培」に関する規制について解説し、また大麻関連で質問されることの多い「どのような刑罰となるのか」という点や、「大麻が合法の国での大麻所持使用が日本法上違法になるか」等についてお伝えしたいと思います。

‐Q1.大麻「所持」で逮捕されますか?


はい、逮捕されます。
大麻所持は違法であり、みだりに所持すれば5年以下の懲役(大麻取締法24条の2第1項)、営利目的で所持すれば7年以下の懲役及び200万円以下の罰金に処せられる可能性があります(同法24条の2第2項)。

「みだりに」という言葉がありますが、一般人が普通に大麻を持っていたり保管していたりすれば「みだりに所持」しているといえます。
みだりにといえない場合というのは、所持している人が「大麻取扱者」としての許可を受けているかどうかによると考えておけば良いでしょう。大麻取扱者とは、都道府県知事から免許を受けて一定の目的で大麻草を栽培したり、使用したりする人のことで、ごく一部の農家や研究者しかいません。また、大麻取扱者であっても、目的外で大麻を所持していれば「みだりに」所持したものとして違法になります。

大麻をどの程度所持していれば逮捕されるのかという質問をされることがありますが、かなり少量でも所持していることが明らかであれば、逮捕はされることがほとんどです。

私が弁護人を務めたケースでも、極微量の吸いカスが車の灰皿から出てきた事案で逮捕・勾留されたものがあります。ただし、逮捕・勾留されても、起訴されるかどうかについては、ある程度の量を所持していたかどうかが基準となっているようです。起訴不起訴を判断する検察官に明確な基準があるかは分かりませんが、初犯であれば0.5g以上の所持の場合には起訴されることが多いようです。

なお、所持と同様に処罰されるものとして、譲り受けや譲り渡しがあります。これらについても、営利目的であってもなくても処罰され、営利目的であれば重く処罰される点も同じです。

‐Q2.大麻の「使用」は逮捕されますか?


いいえ、逮捕されません。
ただし、意図的吸引などの娯楽的使用については、「所持」が前提となるため、所持罪としては逮捕・勾留されたり起訴されたりすることには注意が必要です。

なぜ、使用が処罰されないのでしょうか?
一般人の感覚からすると、「所持より使用の方が違法性高そうなに使用が処罰されないの?」と感じるかもしれませんが、法は、使用の前段階の所持を処罰すれば娯楽的使用については対処できると考えているわけです。

この点は、所持も使用も処罰される覚せい剤取締法との大きな違いです。

そのため、大麻を吸っている人の隣にいて間接的に吸引したとか、大麻を一口吸うために一瞬手にしたというレベルでは、大麻取締法違反で処罰されることはないでしょう。

ただ、これは私の個人的な考えですが、大麻の使用が違法でないのは大麻使用が心身に有害なものでないからだというメッセージを発してしまいかねない点を考えると、そもそも大麻の娯楽的使用を規制したいのであれば、覚せい剤取締法のように、使用そのものも違法としておくべきだったのではないかと思います。

ここでは、大麻の有害性や非有害性について論じるのは避けますが、これについては価値観の多様化している現代社会の中で、曖昧なままにせずしっかりとした議論をしていくことが必要です。

‐Q3.大麻の「栽培」は逮捕されますか?


逮捕されます。かつ、実刑となる可能性が高いです。

大麻の栽培に対する刑罰は、みだりに栽培した場合には7年以下の懲役、営利目的で栽培した場合には10年以下の懲役及び300万円という最も重い刑が定められています(同法24条1項、2項)。
これは、そもそも大麻をみだりに栽培する行為が、大麻取締法が取り締まりたい大麻の使用を広める根本的な行為であるため、最も重い刑で栽培行為を抑制しようとしているものです。
栽培の場合には、ほぼ間違いなく起訴されますし、栽培しているとなれば営利目的まで立証されることも多く、実刑となる可能性が極めて高いといえるでしょう。
栽培で逮捕された場合の言い訳として、興味本位で栽培したなどの言い訳は法律上は全く意味のないものですし、大麻と知らずに知人に言われるがまま栽培していたなどの言い訳も、まず通ることはありません。

興味本位や儲かるかもなどの軽い気持ちで栽培をするのは絶対にやめましょう。


‐Q4.他に大麻関連で違法な行為はありますか?


所持、栽培以外で大麻関連で違法とされるのは、
輸入、輸出、譲り渡し、譲り受け、そして所持、栽培を含めたこれらの行為の未遂と予備行為(犯罪の実行に着手する前の準備行為)です。
(同法24条、24条の2、24条の4)。

未遂や予備行為も処罰の対象となっている点に注意しましょう。

‐Q5.大麻が合法な国での所持も処罰の対象となりますか?


大麻関連で本当によくされる質問として、大麻が合法な国(たとえばカナダなど)で、大麻を所持したような場合も処罰の対象になるでしょうか?というものがあります。

結論からいうと、違法です。
大麻取締法24条の8は、「第24条、第24条の2、第24条の4・・・・の罪は、刑法第2条の規定に従う」としており、刑法第2条は、「この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯したすべてのものに適用する」と定めています。
刑法第2条は、保護主義といって、自国や自国民の利益を保護するために国外で犯された罪であっても日本国の刑法を適用して処罰するということを定めたものです。

この点について、刑法第2条が内乱罪、外患誘致罪などの国益や社会法益に対する重大な侵害行為を定めている中で、大麻取締法レベルの犯罪に保護主義を適用していいのかという問題意識はあっても良いと考えますが、文理解釈上、大麻合法国での大麻所持等が適法であると考えるのは難しいでしょう。

ただし、現実的には、証拠の問題があるため、実際に逮捕されたり起訴されたりすることはまずないと言っていいでしょう。
しかし、そのことと、大麻が合法な外国で日本人が大麻を所持することが日本法上、違法かどうかはまた別の話ということです。


‐Q6.科される刑罰はどれくらいですか?


単純所持で初犯であれば、余程の量を持っているなど特段の事情がない限りは懲役1年6月執行猶予3年程度になるでしょう。
再犯の場合には、具体的事情によりますが実刑可能性が高まります。

また、営利目的所持、営利目的譲渡、営利目的栽培などは、単純所持と併せて起訴されることも多く、一発で実刑になる可能性が高いといえます。
これらの罪で、実刑となる場合には3年以上の懲役となることが多く、5年以上の実刑判決も多数あります。ギリギリ執行猶予を取れたとしても、長期の勾留などで失う社会的関係は大きなものになります。

‐最後に



これまでお伝えした通り、日本において、そして国際社会の多くの国においても、大麻の所持は違法です。

一方で、カナダやウルグアイ等の一部の国やアメリカ合衆国のいくつかの州では、大麻の娯楽的使用が合法化されています。そのためか、国内でも大麻合法化を求める声もあるのですが、現状では、日本において大麻の所持等は刑事罰を持って規制されており、そのような国際的な動きがあること自体が大麻の所持等を正当化する理由には全くなりません。また、国際的な動きといっても、まだ圧倒的多数の国が大麻の所持使用等を違法しています。

日本において大麻所持が違法とされているのは、大麻が心身に有害なものと考えているからです。インターネット等の情報で、大麻は心身に有害ではないかのような記載も散見されますが、少なくとも現在の厚生労働省の見解としては、大麻は心身に有害なものです。
心身に有害か無害かという論争がある中で無害と信じて大麻を使用することもリスクを取りすぎといえると思いますし、違法か合法かでは明白に違法である大麻所持等の行為をすることは、どう考えても不合理な選択でしょう。

TさんやKさんのように有名人でなくとも、逮捕・勾留や前科がついてしまうことの社会的制裁は極めて大きいものです。

覚せい剤などよりもカジュアルに見られがちな大麻ですが、それを使用することのデメリットは覚せい剤の場合と全く変わりません。

大麻に手を出すのは、絶対に止めておきましょう。

−−取材協力−−



弁護士:馬場 龍行(うまば たつゆき)
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